熱帯魚の飼育で特に重要なエサの与え方を解説しています。
熱帯魚の飼育において、エサの与え方は最も重要なポイントです。与えるエサの量が多すぎれば、残りエサによって水槽の中には刻一刻と毒性の強い亜硝酸塩が増加し、それは熱帯魚にとって死のカウントダウンとなります。
逆にエサの量が少なすぎれば、当然のごとく痩せ衰えていきます。特にコイ科の熱帯魚はエサ不足に弱く、中でもダニオ類やラスボラ類などは、みるみる痩せ細り、そのまま放置しておけば餓死してしまうでしょう。また、たとえこのような状態から回復したとしても、その後の成長障害など、深刻な後遺症が残る場合もあります。
正しくエサを与えられた熱帯魚は理想的な体型を維持しつつ大きく成長し、色つやも深みと輝きを増します。また、繁殖を目指す場合には、その成功にも大きく近づきます。
エサを与えるコツは、まずエサを少し入れてはよく観察し、入れたエサを食べ尽くしたら、また少し入れ、これを熱帯魚のお腹が少し膨らむくらい食べるまで繰り返します。このとき、熱帯魚のお腹がはち切れそうになるくらいまで与えることのないように注意します。
このようにして、だいたい合計でどのくらいの量を与えれば良いのかを把握しておきます。一度にどのくらいのエサを食べるかの目安がつかめましたら、次はその合計の量を一回分として一度に与えてかまいません。エサを与える回数は1日二回、朝と夕に行います。
ただし、夜は熱帯魚も眠っていますので、照明が点灯してすぐは寝ぼけてエサもあまり食べません。また、暗くなるとやはり眠ってしまいますので、食べ残しが出ないよう、エサは照明の点灯の一時間後から消灯の一時間前までの間に与えるようにします。
熱帯魚には種類によって水面や底など、それぞれ好みの深さがあり、口の形も浮いたエサや沈んだエサを食べやすいようにそれぞれ上向きや下向きの構造になっています。
もちろんエサの時はみんな水面に集まってきますし、どこを泳ぐかはその他の条件にもよりますが、表層を泳ぐ種類、中層を泳ぐ種類、底層を泳ぐ種類をそれぞれ入れておくと、どの層にあるエサもどれかの熱帯魚が食べやすくなりますので、残りエサが出にくくなり、エサの量の加減が楽になります。
なお、もし水が少しでも白く濁ったら、ただちにエサやりを中止して、数日間はエサを与えずに様子をみてください。たいていはそのまま放置しておくことで水は自然に澄んできますが、もし水の濁りが改善されないようであれば、思い切って半分くらいの水を新しい水と交換する必要があるでしょう。